という大学生をよく見かけます。
ではなぜ、英語は必修なのでしょうか?
答えは「大学設置基準」にありました。
今回のキーワードは「大学設置基準の大綱化」です。
大学設置基準とは?
例えば、
- 教育職員と事務職員を置く
- キャンパスの面積は学生一人当たり10m2は必要
など、めちゃくちゃ細かく決められています。
大学設置基準のどこに記載してあるのか
(教育課程の編成方針)
第十九条 大学は、当該大学、学部及び学科又は課程等の教育上の目的を達成するために必要な授業科目を自ら開設し、体系的に教育課程を編成するものとする。
2 教育課程の編成に当たつては、大学は、学部等の専攻に係る専門の学芸を教授するとともに、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮しなければならない。
(平三文令二四・全改、平一九文科令二二・一部改正)
大学設置基準
実は、現在の大学設置基準には、英語が必要なんて一言も書いてないのです。
あえて言うならば、「幅広く深い教養」の一つといったところでしょうか。
大学設置基準の大綱化とは?
文部科学省のホームページには以下の通り記載があります。
平成3年までは大学設置基準において、大学の開設する授業科目を「一般教育科目」、「専門教育科目」、「外国語科目」、「保健体育科目」に 区分すべきこと、また、それぞれの科目について卒業までに修得すべき単位数などを定めていたところを、個々の大学が社会の要請に適切に対応しつつ、より一層特色ある教育研究を展開することができるようにするため、これらの開設授業科目の区分や必修単位数などに関する規定を撤廃し、代わりに、上記の2点を規定するのみにとどめました。これが一般に「設置基準の大綱化」と言われているものです。
文部科学省HP
大綱化前は、卒業に必要な単位数124単位を細かく定めており(一般教育科目36単位、外国語科目8単位、保健体育科目4単位、専門教育科目76単位)、大学が勝手に卒業要件を決めることもできませんでした。
また、学位も29種類しかありませんでした。
英語が必修である理由①
大綱化前は「一般教育科目」、「専門教育科目」、「外国語科目」、「保健体育科目」が卒業要件に含まれていました。
しかし、大学設置基準の大綱化で規制緩和が行われ、「外国語科目」と「保健体育科目」を卒業要件から撤廃されました。
英語が苦手な人にとっては、そう思うのは無理もありません。
実は、他にも必修から外れない理由があります。
英語が必修である理由②
大学教員は研究・論文執筆・学会発表等が主な仕事なので、
- 英語で書かれた海外の論文を読む
- 英語で論文を書く
- 国際的な学会において英語で発表する
など、英語とは切っても切れない関係にあるのです。
ほとんどの大学で卒業要件を変更するためには、教授会で審議し、学長が決定する必要があります。
つまり、大学教員が英語(語学)が必要ないと感じない限り、必修から外れることはあり得ないということになります。
最後に
- 大学設置基準大綱化前の名残り
- 大学教員が英語を必要と考えている
ことから、英語が卒業要件からなくなることは今後もなさそうです。
また、大学設置基準に、「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮しなければならない」とあるので、 豊かな人間性を涵養するために英語が必要だと思うしかありません。
英語が苦手な人は、早めに単位を取ってしまうことをオススメします。
なぜなら、英語が原因で留年したり、退学したりする学生を見てきたからです。
英語が原因でせっかくの大学生活を棒に振らないように、しっかり単位修得しましょう!